規約は会員の政党支持の自由を明記
「民商は共産党系」とよく言われることがあります。しかし、民商と共産党とは組織的にも財政的にも全く独立した存在であって、民商が共産党の下部組織ということはありません。先日、ある事業者さん(会員ではない)から「民商は共産党の業者部門だと思っていた」と言われてビックリしてしまいました。とんでもない勘違いです。
中京民商の規約には、会員の「思想、信教、政党支持、政治活動の自由」を明記していますし、全国の民商の連合組織である全国商工団体連合会(全商連)の規約にも同じような規定があります。
火のない所に煙は立たぬ?
とはいえ「火のない所に煙は立たぬ」と言われるように、「民商は共産党系」という見方が全く事実無根だとは言い切れないところもあります。
まず、民商が、中小業者の様々な要求を実現する運動(消費税廃止の運動やコロナ禍における直接支援を求める運動など)において、歴史的に日本共産党と深い関係にあったのは事実です(これは別に悪いことではありません)。また、民商と業者後援会(民商後援会)の活動がハッキリと分け切れていないケースがあったことも否定できないでしょう(これはちょっと問題があると言わざるを得ません)。
民商そのものは会員の「政党支持の自由」を規約に明記している以上、共産党を支援することはできません。そのため、共産党を応援したいという民商会員で「共産党民商後援会」または「共産党業者後援会」というものを別途組織して共産党支援の活動を行ってきました。しかし、民商としての活動と業者後援会の活動が混同されて、「民商会員なら共産党を応援するのが当然」というように誤った状態になってしまっているケースがないとは言えません。
中京民商は規約の厳格な運用に努めています
中京民商も、10年ほど前までは残念ながらそのような状態でした。しかし、これは民商の本来のあり方としては非常に間違ったあり方と言わざるを得ません。これを正常化するように努めてきました。具体的には、民商会員=業者後援会員というような扱いに(なし崩し的に)なってしまっていたのを改め、一人ひとりの意志をきちんと確認して(決して強要はせずに)後援会をつくった上で、後援会の活動は民商そのものの活動から厳密に分けるようにしました。後援会といっても、たまにニュース(演説会のお知らせなど)をお届けする程度のもの。現状では、後援会に入っている中京民商会員は全体の半分程度です。
中京民商の会員には、共産党の支持者ばかりでなく、立憲民主党の支持者もいれば、れいわ新選組の支持者もいます。もちろん、特定の支持政党を持たない方も多くいます。
民商そのものとしては、インボイス中止や消費税の減税など、中小業者の要求で一致すれば、立憲民主党であろうと、れいわ新選組であろうと、同じように協力していきます。少なくとも現在の中京民商ではそのように対応していますし、組織として会員に特定政党の支持を押し付けたりすることはありません(ただし、共産党を支持している会員が、他の会員に共産党を支持するよう働きかけることを排除しているわけではありません。同じように、公明党を支持する会員が他の会員に公明党の支持を働きかけることも排除されません)。
民商は政治運動団体ではないが政治との関わりも排除しない
最も大切なことは、民商はそもそも政治運動団体ではないということです。自営業者の経営と生活を守ることを目的とした団体です。政治的なイデオロギーがまずあって、それを実現するために個々の会員が動員されるというようなあり方は適切ではないでしょう。あくまでも、個々の会員(自営業者)の経営と生活の事情が最優先されなければなりません。
しかし、個々の自営業者の経営と生活を守るという目的の実現をめざすなかで、政治との関わりは必ず出てきます(消費税インボイスの問題など)。その場合に、政治との関わりをあくまでも避けようとしては、個々の会員の経営も生活も守れなくなってしまいます。政治的な課題への取り組みを排除してしまうのも、また適切ではないのです。
民商が政治運動団体化してしまうのも、政治的な要素を完全に排除してしまうのも、どちらも違います。中京民商は、このような考え方で活動を進めています。
政治的な活動を強要されることはありません
たまに、入会を検討しているという方から「入会したら共産党に入党しないといけないの?」「入党しないまでも赤旗新聞は取らなきゃいけないんでしょう?」「選挙運動とかしたくないんだけど……」などという不安の声をお聞きすることがあります。
相談に乗っている事務局としては「そんなことを心配しているの!?」とビックリしてしまうのですが、現在の中京民商において、そのようなことは一切ありません。万が一そういう心配で入会を躊躇されている方がいらっしゃいましたら、どうぞご安心ください。ただ、自分たちの経営と生活の問題について、政治とのかかわりも含めて自由に話し合うことはとても大切にしているということはご理解いただければ、と思います。