商いは社会に貢献する道~中京区ゆかりの江戸時代の思想家・石田梅岩

独学で独自の町人哲学を確立

 車屋町通御池上る東側に「石門心学発祥之地」の石碑があります。江戸時代中期の思想家・石田梅岩(いしだ・ばいがん 1685~1744)が居宅を構え、最初に講義を行った場所です。

 梅岩は丹波桑田郡(現在の亀岡市)の農家に生まれ、京都に出て黒柳家という呉服屋で奉公しながら、独学で「心学」と称する町人哲学を確立。黒柳家をやめて45歳のときに自宅で講義を始めました。

 心学は、勤勉、正直、倹約の大切さを平易に説く実践的道徳で、商人たちに受け入れられました。

商取引は天下の人々に尽くす善行

 梅岩は、当時まだ強かった商人への偏見(他人を騙して儲けているという偏見)に対し、商取引は天下の人々に尽くす善行であり、商人が利益を得るのは役立った人々から得る正当な報酬だと説きました。他人に対し分け隔てなく公正に、正直に、誠実に接するのが「商人道」です。

 いま、地域でお金と仕事をぐるぐる循環させて人間らしい暮らしを可能にする地域循環型経済社会への転換が求められています。人びとに喜ばれることを第一に心がける「商人道」を持った自営業者は、地域循環型経済社会の実現にとってなくてはならない存在ではないでしょうか。

 小規模事業者にとって厳しい時代だけに「自分さえ儲かれば良い」ということでなく「自分の仕事で人にどう喜んでもらえるか」「地域社会にどう貢献できるか」を徹底的に考えぬくことが事業継続のカギになります。中京民商は「三方よし」の商人道の精神で頑張る自営業者の集まりです。

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