コロナ禍を機に循環型経済へ~梶川憲さんオンライン講演要旨(上)

 中京民商も加わる消費税廃止中京各界連絡会は、6月9日(水)、「今年こそ消費税減税を!連続学習会③」として、京都総評議長の梶川憲さんのオンライン講演会を行いました。中京民商事務所3階から配信しました。梶川さん講演の概要を紹介します。

厳しさを増す労働者の状況

 いま、最低賃金で暮らす労働者が激増しています。京都府の最低賃金は2020年に時給882円から909円になりましたが、この時に賃金が上がった労働者はたった7人に1人です。ここをコロナが直撃しています。雇用調整助成金の特例措置など雇用・賃金対策は、緊急事態措置などが出されている地域とそれ以外で大きな差が出ています。

 「コロナ解雇、10万人超」などと言いますが、実態はそれ以上に深刻です。雇用統計には、仕事を失った多くの労働者の存在が反映されていません。コロナ感染を心配して職探しを控えたり、適当な就労先が見つからないまま求職をあきらめたりした労働者、ウーバー等、雇用関係でない短期の仕事をつないで何とか暮らしをもたせている人たちは失業者として数えられないのです。それ以外でも、雇用調整助成金や休業手当でかろうじて雇用をつないできたところが多くあります。こうした職場を今後コロナ禍が直撃すると、これまで以上に労働者の所得が落ち込み、消費が回らない社会になってしまいます。

最賃引き上げを淘汰の手段にという思惑も

 京都総評では、4800人の生活実態・実感を踏まえた最低生計費調査を行い、「あるべき普通のくらし」について、20代一人暮らしなら時給1600円で月24万円、40代夫婦子ども2人なら月54万円が必要であることを示しました。コロナの下でもこの求められる水準は変わりません。

 しかし、中小零細業者を中心に「払いたくても払えない」という悲鳴が上がっています。菅政権は2021年の骨太方針で「賃上げを通じた経済の底上げ」「全国平均の最低賃金を早期に時給1000円へ引き上げ」としましたが、政府成長戦略会議委員のデービッド・アトキンソン氏は「小規模事業者の中でも…慢性的な赤字企業はただの寄生虫ですから退場してもらった方がいい」と述べており、最賃引き上げを中小企業淘汰の手段にしようという思惑があることも否定できません。

京都総評の提言に大きな反響

 こういう状況に対して、京都総評は「コロナの下で、労働者も地域経済も守るために」という提案を発表しました。中小企業への抜本的な支援強化、労働者の賃金改善の環境づくりと暮らしへの直接支援という2つの考え方を軸に、社会保険料事業主負担の軽減や消費税5%への引き下げを打ち出しました。また、公契約条例、住宅リフォーム助成など、地域経済の好循環づくりへ地方自治体が出来ることを提案し、安心して地域に住み続けられるようにして「人の循環」をつくろうと呼びかけました。

 昨年10月から11月にかけ、京都府下の商工会議所、商工会など32にこの提案を持って訪問しました。商工会連合会からの案内協力で、各地の受け止めは大変好意的でした。報告や資料を準備いただいていたところ、あらかじめ提案文書を読んで質問や感想を準備しておられたところもありました。会長・副会長や支援員なども参加され、商工会としてのスタンスや地域のリアルな状況が聞けました。

(つづく)

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